2015/03/21.319
国民性
先日、何気なくテレビを観ていたら、比較文化を研究している学者が、日本人、中国人、韓国人の国民性を、それぞれ面白く解説していた。
長年、改良に改良を重ねて作った品質の良い製品を、世界中に輸出するまでに成長した会社に、日本人、中国人、韓国人の三人が見学にやって来たとする。製品を開発したオーナー社長から、会社の将来は前途洋々だと聞かされた時、それぞれ三人は、どう反応するかという話である。
日本人は、自分も技術を磨き、早く社長のような人になり、同じ品質の製品を作りたい。
そして、出来たら社長を超える人になりたいと考えるそうだ。
中国人は、今よりもっと販路を拡げてみせるから、自分と代理店契約を結んで、製品の取り扱いを独占的に扱わせて欲しいと、社長に頼み込むそうだ。
そして、韓国人はと言うと、どんな手段を使ってでも、自分があの社長の椅子に座りたいと考えるそうだ。
日本人と中国人は成る程と理解出来るけれど、韓国人の場合は意味深長である。
何やら、楽して儲けたいという感じがしないでもない。その上、どんな手段を使ってでもと言う言葉があると、何となく不気味である。
私は日本人だから、日本人の国民性は大体分かるけれど、中国人と韓国人の国民性は、本当のところ良く分からない。人から聞いたり、本を読んだり、テレビで観たり、ブログを読んだりして、自らイメージするしかない。
それに、国民性と言っても、色々な性格の人がいるので、一口で言い表すのは難しい。
私が現役の頃、中国企業の人達とは時折商談をした事がある。
中国人は商売上手で、なかなか熱心である。押したり引いたりして、自分の主張を通そうとする。ついには根負けして、相手のペースに乗ってしまうのだ。
最初の話が決まった後も、執拗に次の商談を仄めかすけれど、決して無理強いはせず、次の機会にと切り上げて帰ってしまう。中国人の場合、一度取引が成立すると、その後は友達付き合いの様な関係になるのが一般的である。
日本人は自律型人間が多く、紋切り型で融通が利かないが、中国人は他律型人間が多いので話に柔軟性がある。中国人が人懐こいのはそのせいである。
だから、商売には持って来いの国民性だと言えるかも知れない。
一方、韓国人とは未だかつてお付き合いがない。子供の頃、近くの朝鮮人学校で行われた相撲大会で、在日韓国人の子供と相撲を取った記憶がある程度である。
だから、韓国人の国民性はどのようなものなのか、私自身気になっていたのだ。
最近、自ら民主主義を標榜する韓国が、政治をはじめ司法の世界までもが、理解し難い言動に終始するのは何故なのか、疑問を解く為、以前から興味のあったイギリスの女性旅行家イザベラ・バードが書いた「朝鮮紀行」を読んでみた。
彼女が、一八九四年から一八九七年にかけ、四度にわたる朝鮮旅行を正確な観察眼で纏めた紀行文である。一八九四年と言えば、明治二七年であり、翌一八九五年には、李氏朝鮮の国王高宗の王妃だった閔妃が、何者かに殺害されると言う悲しい事件が起きている。
日韓併合が１９１０年で、朝鮮人が日本に強く反感を抱いた激動の時代だったのである。
韓国の大統領が、千年経っても日本を恨み続けるとまで言った心情が、果たしてどこから来るものなのか、そして、韓国人の国民性の根底にあるものは何かを探ってみたかったのだ。
韓国人の精神性は、心の中に不満を溜め込む「恨(ハン)」という感情を抜きにしては、理解出来ない事は知っているけれど、それが国民性と結び付くのだろうか？
はたして、本文第三十章にこんな記述がある。
「朝鮮人は日本人に対して、ひとり残らず殺してしまいたいと言うほど激しい反感を示していたが、日本兵の品行の良さと兵站部に物資を納めれば、きちんと支払いがある事については、しぶしぶながら認めていた」
また、同じ章にはこんな事も。
「朝鮮は流言蜚語の国なのである。ダレ神父によれば、朝鮮人は節度の意味を知らず、それでいながら、率直さには甚だしく欠ける」
更に、三十一章には、
「朝鮮人は正真正銘の愛国心には甚だしく欠けるとは言え、愛国的傾向は強い」
更に進んで三十三章には、
「狭量、マンネリズム、慢心、尊大、手仕事を蔑視する誤ったプライド、寛容な公共心や社会的信頼を破壊する自己中心の個人主義、２０００年前からの慣習と伝統に隷属した思考と行動、視野の狭い知識、浅薄な倫理観、女性蔑視といったものは、朝鮮の教育制度の産物と思われる」
三十四章の朝鮮のシャーマニズムに触れて、
「朝鮮人は唯一持っているとも言うべき、これらシャーマニズム信仰のおかげで、四六時中、心が休まらず限りない恐怖にさらされ、実のところ、恐がり通しで、この世の時間を過ごしている。自分を苦しめる災難をすべて鬼神の祟りに結びつける」
遡って、十二章にある朝鮮人の農耕法については、
「日本人の細かなところにも目の行く几帳面さや、清国人の手の込んだ倹約ぶりに比べると、朝鮮人の農業はある程度無駄が多くしまりが無い。夏の間は除草しておくべきなのに、それがされていないし、石ころが転がったままの地面も多く、また畑の周辺や畦は手入れが行き届いていないし、石垣が崩れたままで、農地を通る小道は傷み、雑草が生え、畑の畝はあまり真っ直ぐではない」
また、記述のある章を失念したがメモした中に、
「朝鮮人に受け入れられる宗教は、努力せずに金を得る方法を教えてくれる宗教である」
以上が、豊富な知識と経験を持つ、知性豊かなイギリス人女性旅行家の見識である。
日清戦争が終わり、日本が朝鮮改革に着手した時、朝鮮には階層が二つしかなかった。
盗む側と盗まれる側である。旧体制の悪弊を絶とうとした日本の努力も空しく、時代に逆行する動きが如実になったのも、官職にある人間や、官職に就きたいと願う人間による改革反対の気運が、慢性的にあったからだろう。
長い間抑圧され続けた朝鮮の歴史的背景など勘案しても、韓国人の国民性をイメージするのは難しいかも知れない。けれども、テレビで解説していた学者が言う、どんな手段を使ってでも、成功者の椅子に座りたいと考える韓国人の国民性が、イザベラ・バードの「朝鮮紀行」を読んでみると、朧気ながら解ったような気がする。
そうは言っても、どんな手段を使ってでもと言う言葉が、どうしても私の頭から離れない。
面白い話が、怖い話にならなければ良いがと思う。
（完）
脱稿日： 2015/03/21.398